猫が家具を噛んでボロボロにする!予防法を詳しく解説

猫が家具を噛む理由は?
ライフスタイル

猫ちゃんが家具を噛んでボロボロにしてしまう、本当に困ってしまいますよね。なかには「猫は噛む動物だから、家具がボロボロになっても仕方ない」とあきらめている飼い主さんもいらっしゃいます。

しかし猫ちゃんが家具を噛む癖をそのまましておくと、家具の付属品やかけら、布や糸を誤飲してしまうかもしれません。そしてお気に入りの家具が、ボロボロになるのも悲しいものです。

猫ちゃんの誤飲予防のためにも、家具を守るためにも予防しましょう。猫ちゃんはしつけられないと思われがちですが、ちゃんと学習します。猫ちゃんが家具を噛んでしまう理由と対応の仕方、噛まないよう学習させるにはどうすればいいのか、という疑問にお答えします。

猫が家具を噛む理由は?

猫ちゃんは、理由もなく家具を噛んでいるのではありません。必ず何かしら理由があるものです。ご自分の猫ちゃんに該当することはないか、確認してみましょう。

子猫の歯の生え変わり「成長過程」

子猫の歯は、早いと生後3ヶ月くらいから乳歯が抜け、永久歯に生え変わり始めます。生え変わりのときは歯ぐきがムズムズするため、子猫はいろいろなものを噛んで紛らわそうとします。飼い主さんの手を噛む、服を噛むなどのほかに、噛み心地が良ければ家具も噛んでしまいます。

猫は気になるものを噛むことがある

お気に入りのものや興味があるものを、舐めたり噛んだりする猫ちゃんがいます。なかには目に入るものすべて噛みたくなる猫ちゃんもいます。ソファ、木製のテーブル、いすなどが噛まれやすい家具です。また、電気コードを噛みたがる猫もいます。

運動不足や環境の変化などのストレスも

運動不足や遊び不足によるストレスで、家具を噛んで気を紛らわすことがあります。飼い主さんが忙しくて一緒に遊んでもらえない、多頭飼いで強い猫がいるため思うように遊べないこともストレスになる猫ちゃんがいます。

また猫ちゃんはもともと環境の変化に弱い動物です。「引越しをした」「模様替えをした」「新しい猫や犬を飼い始めた」「家族の人数が増えた(または減った)」などは、猫にとって大きなストレスとなります。

家具を噛むのをやめさせたほうがいい理由

ソファなど布製品は、噛んでいるうちにほぐれて糸やひも状になることがあります。糸やひもを猫が飲み込んでしまうと、腸内で絡むことがあり大変危険です。場合によっては手術が必要になることもあります。

また電気コードを噛むことは、好奇心旺盛な子猫に見られます。感電の危険性があるので噛まないようにする必要があります。

噛んでいるのを見つけてしまったら

んでいるのを見つけてしまったら

噛んでいるところを見つけると、すぐにやめさせたくなりますよね。とっさのときは駆け寄ったり、大声で猫ちゃんの名前を呼んだり、「こらっ」と怒ったりしがちです。しかし駆け寄ったり、大声で叱ったりするのは逆効果です。ではどうすればいのでしょうか?適切な対応方法をお伝えします。

絶対に大きな声で叱ったり叩いたりしないで

大声を出して「こらっやめなさい!」と怒ることは、猫ちゃんに恐怖心を与えるだけです。また叩くことも絶対にやめましょう。鼻づらを指ではじくなども、猫ちゃんにとっては大変な恐怖であり、ストレスです。何を叱られているのか、叩かれているのか、猫ちゃんにはわかりません。

叱られることで飼い主さんを信頼しなくなり、かえって噛む癖が強くなることもあります。怒りたくなる気持ちを抑えて、冷静に対応しましょう。声を出して注意をそらすなら「あっ」と一言言うだけで効果があります。

やめさせるには「天罰方式」

噛んでいるところをみたら、音を立てたりお水をかけたりします。ただし飼い主さんがやっていることを、猫ちゃんに気付かれないようにすることがポイントです。「家具を噛んだら大きな音がした、お水が飛んできた、もう噛むのはやめよう」と猫ちゃんに思わせるようにします。音は手を叩く、空き缶に石を入れて鳴らす、お水は霧吹きや水鉄砲などがやりやすいでしょう。

人の気を引く行為には反応しない

猫ちゃんは自分のさまざまな行動を通して、どうしたら飼い主さんが自分の方を向いてくれるか学習していることがあります。家具を噛んだとき、飼い主さんが駆け寄ってきた、寝ていたのに起きたということを繰り返すと「家具を噛むと飼い主さんが気にかけてくれる」と猫ちゃんは学習します。

毎回飼い主さんがかまってくれる限り、猫ちゃんは気を引きたいときは家具を噛み続けるでしょう。気を引くために家具を噛んでいる可能性があるときは、天罰を与えたあとは、無視をして反応しないようにします。

猫が家具を噛むのをやめさせる方法

猫が家具を噛むのをやめさせる方法

時間がかかることもありますが、あきらめずに根気よく続けていきましょう。ちょっとしたことで、猫ちゃんは噛むことをすっかりやめてしまうこともあります。

猫の嫌いな香りのスプレーなどグッズを利用

猫ちゃんが苦手で嫌いな香りで作られた、ペット用いたずら防止スプレーを使ってみましょう。猫にも人にも害はなく、柑橘の香りや苦味のあるりんご風味で人が嗅いでもそれほど不快な匂いはしません。スプレーの他に、塗るタイプもあります。噛まれたくない家具にスプレーしたり、塗ったりして利用してみてください。ただし猫によっては全く効果がないこともあります。

家の環境や家具を見直してみる

大切な家具がある部屋には、猫ちゃんを入らせないようにします。模様替えをして、猫ちゃんが遊ぶ部屋から家具を出してしまうのも手です。しかし部屋の数や環境によっては、難しいこともあります。

その場合は猫ちゃんが噛みたがるテーブルやいすの足などに、ペット用保護シートを貼ります。見た目は多少悪くなりますが、家具を守るためにはしばらくは我慢します。そのうち保護シートを外しても、猫ちゃんはすでに関心をなくしていて噛まなくなることがあります。

電気コードは感電の危険があるので、すぐに対応する必要があります。コードいたずら防止カバーを付けたり、巻いたりしておきましょう。カバーごとかじってしまう猫ちゃんもいるので、油断せずよく観察してください。

子猫には噛んでよい安全なおもちゃを与える

噛みたいさかりの子猫には、噛んでも安全な猫用のおもちゃを与えます。外れやすいパーツが付いているものは誤飲の危険性があるので、与えないようにします。

おもちゃは与えたままにせず、飼い主さんが一緒に遊ぶと猫ちゃんもよろこびます。おもちゃで遊んだら、大好きなおやつを食べさせるのも良い方法です。小さなおもちゃやひも状のおもちゃは飲み込んでしまう危険があるので、遊び終わったら猫の届かないところに片づけてください。

「負の罰」「正の強化」で叱らずにすむしつけ

「負の罰」というのは噛まれて困るものを「猫ちゃんから取り除く」ことです。模様替えをする、カバーをかける、いやな味を付けるなどで噛めなくします。その代わり猫ちゃんには噛んでよいおもちゃなどを与えます。

噛んでよいものを噛んでいるときは、ほめてごほうびを与えます。これが「正の強化」です。噛むのが好きな猫ちゃんは、「家具を噛むと変な味がするし飼い主さんに無視されるけれど、おもちゃを噛むと褒められたりおやつをもらえたり楽しいな」と学習していくことができます。

大きな声で怒ったり叩いたりするのは、脅かして痛みを加える「正の罰」です。正の罰では猫ちゃんはおびえ、飼い主さんを怖がってしまいます。怒りたくなるのをグッと我慢して、猫ちゃんの学習能力を信じて伸ばしてあげましょう。飼い主さんは焦らないことが大切です。

遊ぶ時間や場所を増やしてストレス解消

猫ちゃんは本来、小動物を狩って食べる狩猟動物です。獲物を追いかけたり、探したりする必要もなく、いつでもおいしい餌出てくる生活では少々退屈になります。飼い主さんは猫じゃらしなどのおもちゃで一緒に遊び、追いかける気持ちを満たしてあげましょう。

前足で転がすことで餌が少しずつ出て来るおもちゃは、猫ちゃんの狩猟本能を刺激します。ペットボトルの横に穴を開けたものでも代用できます。猫ちゃんは餌を出そうと一生懸命転がすので、退屈さを感じません。

「上下運動が好き」「高いところが好き」「隠れるのが好き」という、猫の本能を満たす環境づくりも大切です。キャットタワーを置くなどして、上下運動をさせてあげましょう。手頃なサイズのダンボールを置いておくと、隠れて遊ぶようになります。ダンボールには、不要になったTシャツをかぶせて首の部分を出入り口にすると、簡単な猫ちゃんハウスのできあがりです。

どうしても治らない場合は行動専門の獣医師に相談

いろいろな対策をしてもどうやっても治らない場合は、まずかかりつけの動物病院に相談し健康状態を確認してもらいましょう。健康上も問題がないのに、噛むのを繰り返すときは、動物行動専門の獣医師することも必要になることがあります。専門家に相談することで解決できることもあるので、1人で悩まないことが大切です。

まとめ

猫ちゃんが、家具やソファを噛んでボロボロにすることに悩んでいる飼い主さんは多くいらっしゃいます。猫ちゃんが家にいるから仕方ないとあきらめがちですが、家具を噛んでボロボロにすることで、猫ちゃんがかけらを誤嚥する危険があります。特にソファ、は糸を飲み込んでお腹につまってしまうかもしれません。

飼い主さんにとって、お気に入りの家具やソファがボロボロになるのも悲しいものです。猫ちゃんのためにも、飼い主さんのためにも家具を噛んでボロボロにするのをやめさせましょう。

やめさせるために、猫ちゃんを怒ったり叩いたりするのは逆効果です。家具を噛めないようにし、代わりに噛んでいいものを与えます。噛んでいいものを噛んでいるときは、ほめてあげましょう。そして飼い主さんは猫ちゃんにストレスはないか確認し、ストレスとなるものを取り除きます。

一緒に遊ぶ時間を増やし、猫ちゃんが好きな上下運動や隠れる場所をつくるのも効果的です。いろいろな対策をしても噛むのがやめられない猫ちゃんは、かかりつけの動物病院を受診しましょう。

伊藤 悦子

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動物ライター。麻布大学獣医学部環境畜産学科(現:動物応用科学科)出身、ペット栄養管理士。猫と暮らして30年。6匹の猫の哺育から介護、看取りまで経験してきまし...

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